日本語版『サルでもわかる都条例対策』海外向けレビュー 【日本語読者の皆様へ】  このレビューは、「都条例に関心はあるが、日本のオタク実情にはいまいち理解がない&ピンとこない外国の人」向けに書きました。  政治的な情報取捨選択は避けられません。私はあらゆる形の公的権力によるメディア規制に反対する立場ですから。  私人どうしの話し合いなら歓迎します。面倒な話題を公的権力に押し付ける事、それだけはしたくないのです。  ある程度政治的な情報取捨選択があることを、前提としたうえで(メディアリテラシーは大事)お読みください。 2011年1月17日 切身魚 【ほぼ直訳レビューここから】  この本は、検閲反対の活動家にとって楽しい良書です。  一方、初心者にはちょっと難しいので、★一個減らしました。  既に日本のマンガ、アニメ、小説や他のメディアコンテンツに興味がありますか?  答えが「はい!」なら、大変いいお考えです。この本をお読みください。マンガパートは、英語字幕つき日本語で書かれています。  あなたは検閲や思想統制に反対していますか?  日本が太平洋戦争開戦に至った理由を思い出せますか?  検閲は(かつて)このようにして始まったのです。  警察権力はこう言いました/言っています。 「ただただ、子どもたちのためであって、検閲ではない。過激な性的表現、暴力、薬物摂取ほか反社会的行為は許されない(たとえフィクションでも!)」  1930年代はこう言ってました。 「これは善き青少年教育のために過ぎない。ジャーナリスト諸君、教師、ご両親の皆様、ご心配なく!江戸川 乱歩や横溝 正史といった暴力的グロ小説に問題があるに過ぎません」  1930年代の日本で、検閲と思想統制はこうして始まりました。『善い(盲従する)青少年教育』や『富国強兵』といった大義名分に、反論できる人はいませんでした。  今、警察権力はこう言ってます。 「これは単なる販売規制に過ぎない。小説家の皆さん、ご心配なく!マンガ、アニメ、ゲーム類に問題があるに過ぎません、気楽に受け取ってください」 (ですが現実には小説家に問題が起こっています。青少年の『反社会的』行為を書くな、と強制されているのです)  警察権力は、「青少年の健全育成」という大義名分に反論できる人は誰もいないと思っています。  石原東京都知事及び、規制『推進屋』さんは、青少年自身に尋ねません。彼らは自分たちの信じたい「非実在のうわさ」を信じており、「実在するデータ」を信じないのです。  わたくしの推測いたしますに、規制『推進屋』の中のある一定数はこの誤りに気付いています。 2011年(及び今後も)の退職警官は一万人以上います。  規制『推進屋』さんは、退職者に仕事が必要だ、と考えているのでしょう。それも、簡単に出来て、名前だけはご大層な、「マンガやDVDやゲームを買ってチェックする」お仕事。  あら、でもこれは私の想像に過ぎませんのよ。レントシーキングのご心配はなさらないでね。(ニヤリ)  わたくしたち、大人と青少年が必要としてるのは、(そういう簡単なお仕事ではなく)青少年に役立つ『本物の仕事』です。それは「本屋とゲーム屋をチェックして、販売方法を指導する」ような簡単なお仕事ではありません。  わたくしたちは政府にお金(私たちの税金ですよ)を、子どものために使って欲しい。わたくしたちが何を如何に必要としているか、そこに「メディアと情報技術の排除」は含まれて居ないのです。 (=「メディアと情報技術の排除」は納税者のニーズにあらず)  この本の英語版タイトル『Tokyo’s Harmful Books Regulation』には『Harmful(有害な)』という語が用いられていますが、そのことばを用いる理由は上記のようなものです。  わたくしたちは、わたくしたち自身と子どもたちの楽しいメディア生活を希望します。日本では、受け手と作り手はとてもいい関係を築いています。たとえば、有明のコミックマーケットのように。  もし誰かが不安を抱くなら、その人は意見を公開して他の人と語り合うことが出来ます。ですが、法律を作って他の人をコントロールすることはいけません。そういう人は、もっと『実在する青少年』と語り合ったほうがよいと、私は思います。  どうぞお楽しみを、そして私たちにできることをやっていきましょう。 テキストファイル版はこちら:(リンク)CC-BY-NCライセンスです。非営利(実費程度の有償も含む)なら自由に複製・再配布・使用可能です。